 【 歌曲「三人のジプシー」】
リスト,フランツ 〔ハンガリー〕 (1811.10.22〜1886.07.31) 74歳 心筋梗塞

ピアノの巨匠のリストは、213年前の10月22日、 オーストリアの国境地帯にある小さな農村の ボドリアン(ライディング)で生まれた。
父のアダムは、ハイドンにゆかりの深い エステルハージ公家の土地管理人を勤め、 楽才もあった。 リストは幼少のころから父の手によって音楽教育を 授けられ、早くから素晴らしい才能を示した。
父は望みの全てをわが子にかけて、 音楽修行に、また演奏活動に付き添って廻ったが、 リストが15歳のときに病気で世を去った。 一人っ子だったリストはその後、母の生活を 支えていくことになった。
ピアノ伴奏つきのリストの歌曲は、 ピアノ曲や交響曲などにみることのできない、 素朴さと単純さを秘めた抒情的なものが多い。
レーナウの詩による「三人のジプシー」は、 49歳のときの作品で、哲学的な思想を折り込んだ 一種のバラードともいえるものである。
伴奏は、リストらしく巨匠風で、しかも ハンガリー狂詩曲風な面影もみせている。

三人のジプシーが、疲れて道ばたに たむろしているのを見た。 その1人は、ヴァイオリンを持ち、 夕日の中で明るい歌を歌っていた。 他の1人はパイプをくわえて、煙をながめつつ、 幸福感にひたっているかのようで、もう1人は、 のんびり寝て、楽しい夢を追っていた。 みすぼらしい3人だが、自由をもち、 世の人々を嘲笑している。 ジプシーは「この世は食い、眠り、楽しむところだ」 と人生の哲理を教えてくれた。 疲れた足どりで、私は黒い髪をもつ彼らを みつめたのだった。 (歌詞大意)

(バリトン)ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ (ピアノ) ダニエル・バレンボエム ♪ 私が聴いた音源 ♪
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