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...... 2023年04月02日 の日記 ......
■ 《 グランド・オールド・マン 》   [ NO. 2023040201-1 ] sy

【 交響曲 第9番 ホ短調 】
       
ヴォーン=ウィリアムズ ,レイフ(ラルフ)〔英〕
(1872.10.12〜1958.08.26) 85歳
       

          
エルガーやホルストらとともに、近現代の
イギリス音楽を代表する作曲家の
レイフ・ヴォーン=ウィリアムズは、“英国らしさ”を
感じさせる人物で、最近になって英国の文化や
ライフスタイルが注目を集め、その音楽にも
愛好家が増えてきた。

父は貴族階級、母は名門ウェッジウッド家
(高級陶器のウェッジウッド)という絵に描いたような
英国の上流家庭に生まれたヴォーン・ウィリアムズは、
最初はバイオリニストを目指したが、王立音楽大学で
作曲家に転向した。

ホルストらとともに民謡採譜のため英国内を
くまなく回り、英国の教会音楽や賛美歌を
書物にまとめる仕事にも携わって、自国の
伝統音楽をしっかりと学んだ。
一方、ドイツ・ロマン派の作曲家ブルッフや、
ラヴェルにも教えを請い、様々な作曲技法を身につけた。

創作活動は亡くなる直前まで続けられ、
その威厳ある音楽と人間性で
“グランド・オールド・マン(偉大なる老人)”と
呼ばれ、多くのファンに愛された晩年だった。

「海の交響曲」「ロンドン交響曲」「田園交響曲」
「南極交響曲」など、交響曲を9つ書いたが、
これらの作品には「英国」をイメージする、
バッキンガム宮殿の威厳あるたたずまいや
湖水地方ののどかな田園風景、素朴なパイや
スコーンの味わいなどが、すべて備わっている。

また、7つの海を制した大英帝国の末裔らしく、
荒々しい自然の描写や、それに立ち向かう
フロンティア精神も、巧みな管弦楽法で描かれている。
その他の小品にも魅力的な曲が多く、
「“グリーン・スリーヴス”による幻想曲」「あげひばり」
などは美しい曲である。

彼の最後の交響曲の第9番と第6番は「ホ短調」の
作品で、冷戦期の不安と晩年の心情を表現している。
第9番の初演は、1958年4月2日にロンドンで
行われたが、その4ヶ月後に世を去った。

各所で感情を爆発させるかのような
フォルテが聴かれる第1楽章。
深く沈みこんでいくような旋律と響き渡る
鐘の音が印象的な第2楽章。
サクソフォンとオーケストラによるおどけた
旋律の中にも哀愁が漂う第3楽章。
クライマックスで奏でられるハープによる
グリッサンドが自らの人生の終末を
暗示させるかのような第4楽章でできている。

       第1楽章 Moderato maestoso
       第2楽章 Andante sostenuto 
       第3楽章 Scherzo: Allegro pesante
       第4楽章 Andante tranquilo



(管弦楽)ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団
(指揮) アンドリュー・デイヴィス     
            ♪ 私が聴いた音源 ♪




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