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...... 2023年03月25日 の日記 ......
■ 《 童心 》   [ NO. 2023032501-1 ] or

【 子供の領分 】
            
ドビュッシー,クロード・アシル〔仏〕
(1862.08.22〜1918.03.25) 55歳 癌
                

                         
「近代音楽の父」といわれるドビュッシーは、
印象主義音楽を創始し、近代現代の音楽に
非常な影響を与えた重要な作曲家である。

ドビュッシーの音楽は、あまりにも完成された
ひとつの世界であったので、その音楽を
直接継ぐものは現われなかった。
彼は、音楽上の印象派の最初のページを開いたが、
最後のページを閉じたのも、また彼であった。

ドビュッシーの家庭生活は波乱万丈だったが、
エンマと再婚し、彼が43歳の時に娘の
クロード=エンマ(愛称シュシュ)が誕生してからは、
親子3人で平和な喜びに満ちた日々を過ごしていた。
しかし、それは長くは続かず、ドビュッシーに
病魔が襲ってきた。

父親の死の8年後、母親の死の3年後、そして
愛娘のシュシュの死に先立つこと1年余り、
ドビュッシーは癌のため、105年前の3月25日に
パリで55年の生涯を閉じた。

ドビュッシーは子供っぽい性質のため社交は苦手で、
パイプをくわえながら、ひとりで書斎を歩き回り、
とりとめのない夢想にふけり、少年のような
想像の世界に遊ぶのが好きであった。

「子供の領分」は、このような邪気のない
夢想のなかから生まれたもので、ドビュッシーの
軽妙で上品な皮肉に満ちたユーモアからなり、
「いたずら気に満ちた傑作」である。

楽譜の冒頭に「あとに続くものへの、父の優しい
詫言をそえて、私のかわいいシュシュへ」とある。
当時3歳の愛する娘のシュシュのために書かれ、
彼女に献呈された。

第1曲 グラドス・アド・パルナスム博士
第2曲 象の子守歌          
第3曲 人形へのセレナード      
第4曲 雪は踊っている        
第5曲 小さい羊飼          
第6曲 ゴリウォーグのケーク・ウォーク
       
6曲からなる作品だが、この曲の中で夢見る
子どもは都会育ちの、少々おませで神経質である。
しかし、青白く病弱ではない。
洗いおとされた童心のあどけなさである。

子供をえがいた音楽で有名なのは、シューマンの
「子供の情景」、ムソルグスキーの「子供部屋」、
フォーレの「ドリー」などがある。

どれも大人の目から見た子供を描いているが、
ドビュッシーは自ら童心になり、子供の直感の世界、
感覚の世界に生きようとした。
彼は、シュシュと一緒に夢を見、娘の想像する
音楽の世界をともに遊んだのである。



(管弦楽)ロンドン・フィルハーモニー・
        プロムナード管弦楽団 
(指揮) エリック・ハマースタイン  
         ♪ 私が聴いた音源 ♪




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