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...... 2023年03月26日 の日記 ......
■ 《 魂の告白 》   [ NO. 2023032601-1 ] ch

【 弦楽四重奏曲 第1番 ホ短調「わが生涯より」】
      
スメタナ,ベドルジハ〔チェコ〕
(1824.03.02〜1884.05.12)60歳 脳障害
         

           
スメタナの作品は、民族的精神が深く根ざした
歌劇と交響詩が有名で、スメタナ以後のドヴォルザーク、
その他のチェコ音楽に比べ、激しく攻撃的で
それが迫力となっている。

弦楽四重奏曲第1番は、数曲だけしか書かなかった
室内楽曲のうちの1曲である。
52歳のときに完成したこの作品には、
「わが生涯より」という標題がついているが、彼は
2年前に完全に聴覚を失っていて、自らの生涯の
幸福な時期を回想しつつ綴った、魂の告白である。

「この作品の目的は、いわば純粋に個人的なもので
ある。そのために意図して4つの楽器(ヴァイオリン2
ヴィオラ、チェロ、)のために書かれ、4つの楽器は
あたかも親しい友だちのように、私の心を深く動かす
事柄について、互いに語り合うのである」
と彼はのべている。

自分自身の生涯を思い返し、4つの楽章に
なぞらえて作られている。
第1楽章では、音楽の目覚めと、来るべき
苦しい運命の予感。
第2楽章では、舞踏会のピアニストとして人気を
集めていたスメタナの楽しいダンスの思い出。
第3楽章では、妻への愛情と厳しい運命との闘い。
第4楽章では、かん高い耳鳴りを伴う聴覚障害の
苦しみと、それでもなお前に進もうとする一睡の希望。

それぞれの楽章に、作曲者の説明が書かれていて、
第4楽章のコーダでは「その喜びの突然の中断、
運命的な破局、聾(ろう)の始まり、悲しい未来への
見通し、回復の希望も消え失せ、若き日への
追憶にふける、悲しみに満ちた感情」
が盛り込まれている。

1879年3月26日が初演されたが、
そのときにビオラのパートを演奏したのは、
ドヴォルザークだった。
     
      第1楽章 Allegro vivo appassionato 
      第2楽章 Allegro moderato
      第3楽章 Largo sostenuto
      第4楽章 Vivace
     
スメタナは、この曲を書いた7年後には精神錯乱に
陥り、60歳の誕生日には祝賀を受けることもできず、
1884年5月12日に精神病院で世を去った。


   
(演奏) パノハ弦楽四重奏団

(ヴァイオリン)ルイジ・パノハ     
(ヴァイオリン)パヴェル・ゼイファルト 
(ヴィオラ)  ミロスラフ・セフノウトカ
(チェロ)   ヤロスラフ・クールハン 
          ♪ 私が聴いた音源 ♪




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