【「富める人とラザロ」の5つの異版 】 ヴォーン=ウィリアムズ,レイフ(ラルフ)〔英〕 (1872.10.12〜1958.08.26) 85歳
エルガーやホルストらとともに、近現代のイギリス音楽を 代表する作曲家のレイフ・ヴォーン=ウィリアムズは、 “英国らしさ”を感じさせる人物で、最近になって 英国の文化やライフスタイルが注目を集め、 その音楽にも愛好家が増えてきた。
父は貴族階級、母は名門ウェッジウッド家 (高級陶器のウェッジウッド)という絵に描いたような 英国の上流家庭に生まれたヴォーン・ウィリアムズは、 最初はヴァイオリニストを目指したが、 王立音楽大学で作曲家に転向した。
ホルストらとともに民謡採譜のため英国内をくまなく 回り、英国の教会音楽や賛美歌を書物にまとめる 仕事にも携わって、自国の伝統音楽をしっかりと学んだ。 一方、ドイツ・ロマン派の作曲家ブルッフや、ラヴェルにも 教えを請い、様々な作曲技法を身に付けた。
64年前の8月26日ロンドンの自邸で、心臓発作のため 85年の生涯を閉じたが、創作活動は亡くなる直前まで 続けられ、その威厳ある音楽と人間性で “グランド・オールド・マン(偉大なる老人)”と呼ばれ、 多くのファンに愛された晩年だった。
ヴォーン=ウィリアムズは、各地で採集した民謡を、 自らの曲の素材として用いた。
「富める人とラザロ」の5つの異版(ヴァリアント)は ハープと弦楽合奏のための作品で、新約聖書の ルカによる福音書に書かれた物語を基にしている。
16世紀ごろから歌われているイギリスの古い民謡の 旋律だが、この民謡からは様々なタイトルや 歌詞が生まれ、曲も変形されながら、 イギリス各地に伝わっていった。
ヴォーン=ウィリアムズはスコットランドや アイルランドを含め、各地で歌われるこの曲の異なった 様々な歌い方で歌われる異版を収集した。
そして、その内の5つを用いて1939年に書いた。 この曲には、作曲者の創意もかなり含まれることを ヴォーン=ウィリアムズ自身も述べている。 主題と5つの変奏部分を持つ変奏曲の1つともいえる。
(管弦楽)ニュー・クイーンズホール管弦楽団 (指揮) バリー・ワーズワース ♪ 私が聴いた音源 ♪
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