 【 歌曲「五月の夜」Op. 43-2 】 ブラームス,ヨハネス 〔独〕 (1833.05.07〜1897.04.03) 63歳 肝臓病
 ブラームスは生涯に、およそ300の歌曲を作曲した。
作品43の歌曲集は4曲からなり、第1曲は「永遠の愛」、 第2曲が1866年に作曲された「五月の夜」で、 北ドイツ生まれの抒情詩人のヘルティ(1748-1776)の 詩に基づいている。
不協和音を適切に挿入し、転調を効果的において 五月の夜をいっそう切実に感じられるようにしたので、 暗くて寂しいしかも甘さのある名曲である。

銀のような月が 茂みを通して照り その眠そうな光が 芝草にこぼれ 夜鷹が鳴くとき 私は寂しく 藪の中をさまよう 葉かげの下で 一つがいの鳩が 私に歌をきかせる しかし 私は歩みを転じて いっそう暗い影を 求めてゆく 私の眼からは 寂しい涙が流れる おお朝の光のように 私の魂に 輝き入るほほえましい姿よ いつの日に 私はこの世でおまえに会るのか 寂しい涙の私の 頬にだんだん熱くなる
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