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...... 2022年04月28日 の日記 ......
■ 《 江戸好み 》   [ NO. 2022042801-1 ] s

【 箏組歌「初音の曲」】
        
山田検校 〔日〕
(1757.04.28〜1817.04.10) 60歳
       

      
江戸時代後期の筝曲家の山田検校は、尾張藩の
宝生流能楽師の三田了任を父に、モーツァルトが
生まれた翌年の4月28日に江戸に生まれた。
本名は斗養一(とよいち)といった。

幼いときに失明したが、山田松黒(医師)に師事し、
後年、山田流を興した。

当時、江戸人の好みに合うように浄瑠璃の旋律を
取り入れたことで人気が出て、多くの門弟に
慕われて発展していった。

その功績で、室町以降に目の不自由な人に
与えられた最高の官名「検校」を授けられた。
(この制度は明治時代に廃止された)

箏曲の二代流派の一つの「生田流」は、
『三味線(地唄)』との合奏を取り入れているが、
「山田流」は、唄の内容を重視した流派である。

「小督(こごう)」「熊野(ゆや)」「長恨歌の曲」
「葵上」は代表作品で四曲とよばれる。

奥許の「初音の曲」は、横田袋翁の作詞で
唯一の箏組歌である。

「源氏物語」の「初音」の巻に取材し、源氏六条院殿に
おける新年ののどかな生活のさまを象徴的に
まとめて六歌に配している。

   一 梅が香も、みすの匂ひにふきまがひ
     春のおとどにはるたてる、
     おまえのさまいふことのはもおよばじ。

   二 あふみのや、あふみのや、名だかき山もよそなあらぬ、
     春の鏡にむかひゐて、かわらぬかげをうつさむ。

   三 けふは子の日なりけり、千歳の春をいはふとて
     そのふの小松引き遊ぶ、人の心ぞのどけき。

   四 めずらしや、かげ高き花をねぐらの鶯。
     すだちし松のねにたてて、谷のふるすをこととふは、

   五 花の香さそふゆふ風、のどかに吹きたるに、
     梅もやうやうひもときて、このとのあそぶおもしろき。

   六 をとこだうかの明け方、水駅にもあらじな、
     わたをかつぎわたして万歳楽をうたへり。

              (訳)

   1 梅の香も風に吹き送られ、御簾の中の香と混同され、
     正月に殿に訪れる新春の前哉や殿の中の祝儀の情緒の
     華やかさは言葉では表現されないものである

   2 近江国の名高い山も他でもない鏡山。
     その山の名の春の池の鏡に向かって、
     千年も変わらず栄える影を映してみよう 。

   3 今日は子の日であるよ。千年の栄える春を祝うというので
     前栽の小松を引いて遊ぶ人の心は長閑である。 

   4 珍しいことである。影の高い花のような東宮妃という
     高い位を巣にした鶯が巣立ったもとの松の根に
     音を立てて谷の古巣を訪れることは殊勝なことである。

   5 花の香をただよわせてくる風は長閑に吹いてきたが、
     梅もようやくほころびはじめ、この殿での遊びは
     面白いことであるよ。

   6 男踏唄の夜明方水駅でもあるまいな、
     綿の花をつけて万歳楽を歌った。





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