【 箏曲「春の海」】 宮城道雄 〔日〕 (1894.4.7〜1956.6.25) 62歳 事故死
箏曲演奏家の宮城道雄は、明治27年4月7日に 兵庫県で生まれた。 7歳のときに失明し、9歳から生田流の箏曲を 師事したが、12歳で早くも師匠の免許を得、 指導者、演奏家、作曲家として活躍した。
国内だけでなく、海外にも演奏旅行を行ない、 各地で称賛を受けた。
昭和5年東京音楽学校に迎えられ、引き続き 東京芸術大学教授として教育の面にも力を入れた。
彼はまた伝統楽器の改良や、新しい楽器の 発明もし、十七弦などを製作している。
昭和31年6月25日大阪での演奏会に向かう途中、 東海道刈谷付近で誤って列車から落ちて 不慮の死を遂げ、62年の生涯を閉じた。
彼の作品は、クラシック音楽の影響を受けていて、 構成感(形式感)と拍節感の明晰さや、主旋律と 伴奏の対比を特徴としている。
琴と尺八の二重奏曲の「春の海」は歌を伴わない 小品で、A-B-Aの三部形式でできていて、 Aは春の海の波や、かもめの声などを描写した 緩徐な部分、Bは陽気な船歌と、春霞ののどかさを 巧みにおりまぜた早いテンポで作られている。
女流ヴァイオリニストのシュメーによって、 尺八部がヴァイオリンに編曲されて、 2人によるレコードも吹き込まれた。 フルートなどに編曲されたものもあって、 外国人によって演奏されることもある。
箏曲(そうきょく)は、箏(琴)を主体として 書かれた音楽のことだが、多くは歌つきの曲として 書かれているので、箏を習う人は必ず歌を教わる。 そこで「箏を習う」とはいわず、「箏曲を習う」という。
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