 【 歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲 】 グリンカ,ミハイル・イヴァノヴィチ 〔露〕 (1804.06.01〜1857.02.15) 52歳
 グリンカは、ロシア国民楽派の祖として知られ、 また、十九世紀の東ヨーロッパにおける 国民主義音楽の先駆的存在であった。
十九世紀前半のロシアでは、 貴族はドイツ音楽やイタリア・オペラに 夢中になっていたが、一般民衆のための 芸術音楽は、無に等しい存在だった。
自由な考えをもつ貴族出身のグリンカは、 そんな状況をなんとかしようと、ロシア独自の 国民的な音楽文化を築き上げようと努力した。
彼は早くから音楽の勉強をしていたが、 父の意志により、運輸省に勤務したものの 6年後に公職を辞して、音楽の勉強をやり直した。
国民オペラの創始者として、32歳のときに 初演された「皇帝に捧げた命」(イワン・スサーニン)は 大成功をおさめた。
47歳のときに母親の死にあった グリンカは、 もともと身体の弱かったこともあり、その後 健康がすぐれなかった。
彼は死の前年、教会音楽を研究するために ベルリンに赴いたが、十分に成果をあげないうちに 57歳の2月15日にこの地で客死した。
歌劇「ルスランとリュドミラ」は、グリンカの 国民オペラの第2作目で、題材をロシアの 民話に採り、ロシアの民謡風な音楽を 用いた点で注目された。
物語は、キエフの大公の娘リュドミラ姫に、 3人の求婚者が争い、悪魔やら怪物やらが 登場して、いろいろの事件が生じるが、 最後にその3人のうちの1人で、姫の愛人である 騎士ルスランが姫を得る話である。
序曲は明快快活で変化多く、ロシア的地方色も 豊かで魅力をもつうえに、当時としてはまったく めずらしく、6全音音階がたくみに用いられている。

(管弦楽)NHK交響楽団 (指揮) エフゲーニ・スヴェトラーノフ ♪ 私が聴いた音源 ♪
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