 【 交響組曲「寄港地」】 イベール,ジャック 〔仏〕 (1890.08.05〜1962.02.05) 72歳
 幼児から音楽の才能を母から受け継いだイベールは、 初めパリ音楽院の演劇科に、20歳で音楽科に 入学したが、24歳のとき第一次世界大戦が勃発し、 海軍に入って士官になった。
戦後、パリに戻り作曲活動を再開し、29歳のときに 「ローマ大賞」を獲得してローマに留学した。 交響組曲「寄港地」は、そのときに作曲した曲の中の 一つで、32歳の作品である。 初演から大好評で、彼の名を一躍ヨーロッパの 楽壇にひろめた出世作となった。
彼は海軍士官時代に、船に乗り組んで地中海を航行し、 沿岸各地に寄港して異国の風物に接していた。 その頃受けた印象にもとづいて、それぞれの 特徴ある港町の情景を、3曲にまとめて美しく鮮やかに 描き出したもので、初期の代表作である。
第1曲 ローマ〜パレルモ 第2曲 チュニス〜ネフタ 第3曲 ヴァレンシア
それぞれの寄港地までの海上の情景や、寄港地に 降り立ったときのエキゾティックな気分や清らかな 詩情をかもし出した音楽である。 明快さ、軽快さ、流麗さ、洗練された機智と趣味に 満ちていて、頭脳の明晰さとパリジャンらしい 才気は、作品に大きな魅力を与えている。
イベールといえば、昭和15年日本の「皇紀2600年」 (初代天皇の神武天皇が即位した年からのカウント)に 日本政府が委嘱し、フランス政府からの要請で 「祝典序曲1940」(日本建国2600年祝賀曲) を作曲している。
66年のときに栄誉ある学士院会員に選ばれ、 多くの作品を残し、生地のパリで60年前の2月5日に 72年の生涯を閉じた。

(管弦楽)モントリオール交響楽団 (指揮) シャルル・デュトワ ♪ 私が聴いた音源 ♪
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