 【 歌曲「さすらい人」Op. 4-1 D. 489 】 シューベルト,フランツ・ペーター 〔墺〕 (1797.01.31〜1828.11.19) 31歳 チフス
 シューベルトの初期を代表する傑作の「さすらい人」は、 1816年10月、19歳のときに一晩で 書き上げたといわれている。 深いロマン的精神に溢れている曲で、3連符の物憂い 前奏で始まり、最後は絶望的に声をひそめて歌い終わる。
シューベルトは、この歌の一部を取り出して 6年後の1822年にピアノ独奏用の 「さすらい人幻想曲」を書いている。
歌詞は、医師リューベックの詩によるもので、 この世のどこにも幸福を見いだせぬさすらい人の 心が歌われる。

さすらい人
私は山の上からやってきた 谷は霧立ち、海は波立っている 私はとぼとぼとさすらい、少しの喜びもなく ため息は絶えず「どこなのか」とたずねる 太陽は冷たく、花はしぼみ、命も疲れ果てた 人の言葉はうつろにきこえ、私はどこへ行っても 見知らぬ旅人だ
私のあこがれの国はどこなのか 探し、求めても見つからない 緑の希望の国、薔薇の花咲く国 友のさすらいゆく国 死者の蘇る国 私の言葉をはなす国 そのような国は どこにあるのだ 私はとぼとぼとさすらい、少しの喜びもなく ため息は絶えず「どこなのか」とたずねる 魂の息吹きの中にこだましてくる声は おまえのいないところ そこに幸いがあるのだ
シューベルトには、ハイネの詩による 歌曲「さすらい人」D493と、シュレーゲルの 詩による歌曲「さすらい人」D649がある。
【 幻想曲 ハ長調 作品15 D760(さすらい人幻想曲)】は、 2月7日に掲載
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