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...... 2021年03月22日 の日記 ......
■ 《 ゲーテの詩 》   [ NO. 2021032201-1 ] v

【「魔王」0p. 1 D328 】

シューベルト,フランツ・ペーター 〔墺〕
(1797.01.31〜1828.11.19) 31歳 チフス



ゲーテ,ヴォルフガング・フォン 〔独〕
(1749.08.28〜1832.03.22) 82歳

ドイツ古典派最高の詩人であるゲーテは、
フランクフルトで生まれ、189年前の3月22日に
ヴァイマルで、82年の生涯を閉じた。

彼の代表作「ファウスト」は、多くの作曲家によって
オペラ化されたが、他にも劇音楽や歌曲として
作曲されたものも多数ある。

シューベルトも、ゲーテの多くの詩に
曲をつけているが、中でも18歳のときの作品の
「魔王」「野ばら」は有名である。

シューベルトが「魔王」を作曲したとき、
政治家でもあったゲーテは66歳になっていた。

馬の疾走するさまを描いた、無気味な3連音の
前奏に始まり、この伴奏のうえに語り手登場。
心は恐怖におののきながらも、子どもをいたわる父親、
父親に抱かれてその腕の中でわななく子、
甘言をもって子どもの魂を奪い去ろうとする魔王の
4人の声を使い分けて劇的に歌われる。

(語り手)
こんなに遅く、闇と風をついて馬を駆けるのは誰だろう。
それは子を連れた父親だ。
子をひしと抱いている。

(父親)
坊や、なぜそんなに恐れて顔を隠すのだ。

(坊や)
お父さん、お父さんには魔王が見えないんですか。
冠をかぶり、長い衣を着た魔王が。

(父親)
坊や、あれはたなびいた霧だよ。

(魔王)
かわいい坊や、一緒においで、
おまえとおもしろい遊びをしよう。
浜にはきれいな花が咲いているし、
私のお母さんはたくさんの金の着物を持っているよ。

(坊や)
お父さん、お父さん、魔王がこっそり
ぼくにささやいているのが聞こえないの。

(父親)
坊や、落ち着きなさい、
枯葉に風が吹いてざわめいているのだ。

(魔王)
かわいい坊や、いっしょに行こう。
娘たちがおまえを楽しくもてなしてあげる。
夜の踊りに連れて行って、坊やをゆすったり
踊ったり、歌ったりするよ。

(坊や)
お父さん、お父さん、見えないの?
あの暗いところにいる魔王の娘たちが

(父親)
坊や、坊や、よく見えるとも、
あれは灰色の古い柳の木だよ。

(魔王)
お前が好きなのだ、お前にきれいな姿に
心を奪われてしまったのだ。
もしいやというなら、力づくで連れてゆくぞ。

(坊や)
お父さん、お父さん、いま魔王がぼくをつかまえる。
魔王がぼくをいじめる。

(語り手)
父親は恐怖にかられ、馬を走らせる。
あえぐ子を胸に抱きしめて疲れきって
家に着いたとき、腕の中の子は死んでいた。



(独唱)  ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ
(ピアノ) ジェラルド・ムーア           
           ♪ 私が聴いた音源 ♪





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