 【 スターバト・マーテル 】
ロッシーニ,ジョアキーノ 〔伊〕 (1792.02.29~1868.11.13) 76歳 直腸癌

美食家としても 知られている、イタリアの作曲家の ロッシーニは、228年前の2月29日に イタリアのペザロで生まれた。 父はトランペットとホルン奏者、母はソプラノ歌手で、 彼は1人息子だった。
子どものころは、父が望むようには音楽への関心を 示さなかったが、音楽学校時代から作曲を始め、 両親の知己もあり、早くから認められるようになった。
36歳のときに歌劇「ウィリアム・テル」を発表した彼は、 その後不眠症などに悩まされるようになり、 新しい歌劇創作の筆を折る決心をしたため、 「ウィリアム・テル」がロッシーニ自身が書きおろした 最後のオペラ作品となった。
その後の40年近くの後半生は、数曲の宗教曲や カンタータなど、気の向くままに書きとどめていたに すぎなかったが、彼の全作品の中でも 屈指の秀作に数えられる「スターバト・マーテル」は、 「ウィリアム・テル」完成の2年後に着手された。
「スターバト・マーテル」とは、キリストの受難を悲しむ 聖母マリアの心を歌う詩のことで、中世以来多くの 人々によって歌い継がれてきた。
かつてナポリで、ペルゴレージ(1710~1736)の 「スターバト・マーテル」を聴いたロッシーニは、 こんな名作のあるジャンルには足を踏み入れまいと 決心していたが、1831年にマドリードを訪問し 大歓迎を受け、このときに知り合ったスペインの 富豪で好事家のドン・ヴァレラから、依頼をうけて 創作に取りかかったといわれる。
ところが腰部神経痛に襲われ、作曲の筆が 進まなくなり、完成したのは10年後のことだった。 1842年1月7日 にパリのヴァンタドゥール会場で 初演され、大きなセンセーションをまきおこし、 評判をよんだ。
明るい表情をもった世俗的な人なつっこさ、 のびやかな旋律の美しさ、強弱や色彩の起伏にとんだ オーケストレーションなど、ロッシーニ独特の作風が この宗教曲をきわめて人間くさい親しみにみちた 作品として、宗教音楽に一陣の新風を吹き込んだ。
10章からなり、2管編成の管弦楽にともなわれた 合唱、重唱、独唱が「スターバト・マーテル」の 20節の三行詩全文をうたいあげている。
* Stabat Mater * Cujus animam gementem * Quis est homo * pro peccati * Eja, Mater,fons amoris * Sancta Mater * Fac ut portem * Inflammatus et accensus * Quando corpus morietur * Amen

(ソプラノ)キャスリン・マルフィターノ (メゾ・ソプラノ)アグネス・バルツァ (テノール)ロバート・ギャンビル (バス) グウィン・ホーウェル (合唱) フィレンツェ五月祭合唱団 (管弦楽)フィレンツェ五月祭管弦楽団 (指揮) リッカルド・ムーティ ♪ 私が聴いた音源 ♪
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