[PREV] [NEXT]
...... 2019年01月28日 の日記 ......
■ 《 不完全な楽器 》   [ NO. 2019012801-1 ] e_ch

【 フルート四重奏曲 第1番 ニ長調 K. 285 】

モーツァルト,ヴォルフガング・アマデウス〔墺〕
(1756.01.27〜1791.12.05) 35歳



モーツァルトは、21歳の1777年に主君にあたる
故郷ザルツブルクの大司教との確執から、
宮廷音楽家の地位を辞任して、就職口を探すために
母と2人で、かつて父や姉と幼いころにたどった道を
そのままに、マンハイムに出かけた。

残念ながら定職にはありつかなかったが、
ヨーロッパでは一、二を争う優れたオーケストラに
接したことにより、管弦楽法に一段と磨きをかけ、
その後の彼の作風に大きな影響を与えている。

その音楽的環境で、幾人かの優れた
演奏家たちと交わることができた。
当時フルート奏者として、全西欧に知られていた
ヨハン・ヴェントリングもそのひとりであった。
そして、その兄のヴァイオリニストの家も
しばしば訪れていた。

そこでオランダ人の金持ちド・シャンを紹介された。
金利で生活し、いろいろと芸術に興味をもっていた
彼から、フルートのための短くてやさしい協奏曲の
作曲を依頼された。
そこで、第1〜第3までのフルート四重奏曲と
第1〜第2のフルート協奏曲を書き上げて彼に渡した。

そのころのフルートはまだ不完全な楽器で、
奏法も不自由だったし、音色も現在のように
輝かしいものではなくて、華やかさのない、
くすんだ響きをもっていたようで、モーツァルトは
フルートがあまり好きではなかったようだ。
「我慢できない楽器のために作曲していると、
頭がぼけてきます」と父に知らせている。

現在使われている、輝きに満ちた音色の
フルートに接していたら、彼はもっと多くの
フルートの曲を作ったであろう。

4曲あるモーツァルトのフルート四重奏曲の中でも
第1番は、広く親しまれている作品で、第2楽章の
弦のピチカートを伴った哀愁をおびたメロディが
特徴だが、華やかで親しみやすい旋律を持った
魅力的な小品である。

           第1楽章 Allegro
           第2楽章 Adagio
           第3楽章 Rondeau



      (フルート) ジャン・ピエール・ランパル
      (ヴァイオリン)アイザック・スターン
      (ヴィオラ) サルバトーレ・アッカルド
      (チェロ)  ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ
                ♪ 私が聴いた音源 ♪





...... トラックバックURL ......
  クリップボードにコピー

...... 返信を書く ......
[コメントを書く]
タイトル:
お名前:
メール:
URL:
文字色:
コメント :
削除用PW:
投稿キー: