 【 歌曲「歌の翼に」Op. 34-2 】
メンデルスゾーン,ヤーコブ・ルードヴィヒ・ フェリックス 〔独〕 (1809.02.03〜1847.11.04) 38歳
ハイネ,ハインリヒ 〔独〕 (1797.12.13〜1856.02.17) 58歳

天才詩人のハイネは、1797年12月13日に ユダヤ人を両親にデュッセルドルフで生まれた。
後にキリスト教に改宗し、34歳のときフランスに 亡命、ドイツとフランスの2つの国で生きたが、 パリのマンモルトルで58年の生涯を閉じた。
彼は40歳のころから、眼病、頭痛、 麻痺などが起こり、病魔と闘いながら 多くの詩集や評論を書き続けた。
豊かなロマン的詩心をもったハイネの詩は、 多くの作曲家によって作曲されている。 ジルヒャーの「ローレライ」もハイネの詩に 作曲したものであるが、シューベルト、シューマン、 R.シュトラウス、ブラームス、チャイコフスキー、 リストの歌曲やワーグナーのオペラなどがある。
1834年にデュッセルドルフで 作曲された 「作品34」は、ハイネの詩による6曲の歌曲で 第2曲が「歌の翼」である。 メンデルスゾーンの歌曲の中で最もひろく知られて いるもので、歌曲としてばかりでなく、バイオリン その他の独奏用にも編曲されて親しまれている。
メンデルスゾーンらしいなだらかな、気品のある 旋律をうたわせ、ピアノ伴奏は一貫して 美しいアルペッジョで伴奏される。

歌の翼に恋しき君をのせ ガンジス河の美しい花の野に運ぼう 静かな月にはえて 花園の蓮の花は 愛しいものの訪れるのを待っている すみれは微笑み 星を仰ぎ 薔薇はひそかに耳に香りをよせる なれたかしこい子鹿が走りより 耳をそばだてるかなたには 清い流れのせせらぎが聞こえる そこに茂る椰子の樹のもとにおりたち 君とふたり 恋と安息を味わい 幸の夢をみよう

歌の翼
歌の翼を かりてゆかな 幸にあふるる 夢の国へ 陽をさす園に 花は香り みわたす池に 蓮(はちす)におう
なつかしきかな 夢の国や いそぎて行かな きよき楽園(その)へ かわゆきスミレ われを招き そよぐ風さえ 友を呼べり
いざわが友よ たちて行かん うるわしの夢 はてぬ国へ はてぬ国へ 国へ
(津川 圭一 訳詞)
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