 【 無言歌 Op. 109 ニ長調(遺作)】
メンデルスゾーン,ヤーコブ・ルードヴィヒ・ フェリックス 〔独〕 (1809.02.03〜1847.11.04) 38歳 クモ膜下出血?

メンデルスゾーンは裕福な銀行家の子として ハンブルクで生まれた。 ユダヤ系ドイツ人の家系で、父は銀行家、 祖父は哲学者、ゾロモン家出の母はベルリンの ユダヤ系銀行家の娘だった。
子どものころから、オーケストラの演奏が できるような邸宅に住み、幸福な音楽家の 一生だったが、1847年に仲の良かった姉 ファニーの突然の死の衝撃が大きく、 異常に疲労していた身体に神経の障害を 引き起こし、病状がしだいに悪化して 死の前日にクモ膜下出血と思われる症状で 意識を失ない、11月4日にライプツィヒで、 わずか38年の生涯を閉じた。
その6年後に 彼の良き妻だったセシルも 結核のため、34歳の若さで世を去った。
メンデルスゾーンは、49曲の無言歌を書いている。 無言歌は大部分、歌曲ふうの旋律と 簡単な伴奏とでできているピアノ独奏曲である。
全49曲のうち、48曲は「第1巻作品19」から 「第8巻作品102」まで、各6曲ずつまとめられている。
「第7巻作品85」は没後4年目に、 「第8巻作品102」は死後、21年後に、 そして、無言歌の最後の曲の「作品109」は 遺作として出版された。
「作品109」は、子守歌ふうの、温かな詩情を たたえた旋律を持っていて、優雅で抒情的な 作品であるが、そこには一脈の寂しさが 流れていて、彼の死の予感を感じさせないでもない。
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