 【 春の朝に 】
ブーランジェ,リリー 〔仏〕 (1893.08.21〜1918.03.15) 24歳

二十世紀初めの、フランスの天才女性作曲家の リリ・ブーランジェは、125年前の8月21日に パリの音楽一家に生まれた。
幼いころから病弱で、姉のナディアやフォーレから 主に個人レッスンで作曲を学び、 十代の終りごろから作品を発表していた。
若い芸術家の登龍門のローマ大賞を受賞したのは 19歳のときで、音楽部門で女性に 大賞が授けられたのはこれが最初だった。 父エルネストも1835年に受賞している。
ローマ大賞を受賞したカンタータ 「ファウストとヘレネ」は彼女の代表作といえるもので、 壮麗な音楽である。
大賞の歴代受賞者にはベルリオーズやビゼー、 ドビュッシーらの名がならんでいるが、ラヴェルが、 何回も落選したときは大騒ぎになっている。 リリは2回目の挑戦で射止めた。
彼女は悪化する病気(クローン病:腸の重い病気)と 闘いながら作曲活動を続けたが、快復することなく 24歳という若さで世を去った。 美しく、魅力的な人柄で、自然と動物を愛し、 敬虔なカトリックの信者だった。
6歳年長の姉のナディアもすぐれた作曲家だったが、 妹の死後は筆を折って、リリーの作品の紹介と 若手音楽家の教育活動につとめ、 多くの作曲家を育て上げた名教師だった。 コープランドやバーンスタイン、ピアソラら多くの 音楽家が彼女のもとから育っている。
バイオリン(またはフルート}とピアノのための 「春の朝に」は、亡くなった年の1918年に完成した。 複雑な和声や斬新な伴奏部分に、 彼女のもっていた豊かな表現力が感じらる。

(フルート)エミリー・バイノン (ピアノ) 上野 真 ♪ 私が聴いた音源 ♪
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