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...... 2024年03月07日 の日記 ......
■ 《 管弦楽法の妙味 》   [ NO. 2024030701-1 ] co

【 ピアノ協奏曲 ト長調 】
        
ラベル,モリス・ジョセフ 〔仏〕
(1875.03.07〜1937.12.28) 62歳
      

        
ラベルの父ピエールはスイス人技師で、発動機工業の
先駆者のひとりであり、2行程過給エンシンの
発明者として著名な存在であった。

スペイン国境に近いピレネー山地のバスク地方の
シブールに住んでいたスペイン人の母との間に、
143年前の3月7日、長男として生まれたが、
3ヶ月後にはパリに移り定住した。

3年後に弟が生まれ、若いころから音楽を
愛好していた父は2人の息子を音楽家に
育てたいと望んだ。
しかし、音楽の道に進んだのは兄だけだった。

フランス二十世紀の大作曲家のラベルは、
作曲家生活の終わり近く、2つのピアノ協奏曲を
ほぼ同時に書き上げた。

当時アメリカに演奏旅行をし、その成功に気をよくし
「ピアノ協奏曲ト長調」の楽想をねり始めた。
ちょうどこのころ、オーストリアのピアニストの
ウィットゲンシュタインが、第一次大戦中に
右腕を失い、残った左手のための協奏曲の
作曲依頼があり「左手にためのピアノ協奏曲」も
作曲したのだった。

スペインの民族音楽の色彩的官能美に
ひかれたことも ラベルの創作の土台となっていて、
彼の作品は色彩豊かな表現の世界を作り上げている。

「ピアノ協奏曲ト長調」について、彼は
「モーツァルトとサン=サーンスの精神で書かれた、
厳密な意味の協奏曲」であると言っている。

明朗で華麗さに満ちた第1楽章。

モーツァルトの五重奏を思わせる
優しく詩的な第2楽章。

才気に満ちたカプリッチョ風の輝くような
第3楽章のフィナーレは、プロコフィエフの
「ピアノ協奏曲第3番」を思わせる。
ジャズも取り入れられ、管弦楽法の妙味を
十分発揮している。

ラベルより23年後に生まれたアメリカの
ガーシュインがパリ旅行の印象から作曲した
「パリのアメリカ人」は、この作品の3年前に
書かれたが、どこか似た雰囲気が・・・

ラヴェルは、このト長調を書いた翌年、
自動車事故に遭い脳疾患で作曲も出来なくなり、
1937年に62歳で世を去っているが、
ガーシュインも脳腫瘍で同じ年に
39歳の短い生涯を終えている。

         第1楽章 Allegremente
         第2楽章 Adagio assai
         第3楽章 Presto



(ピアノ)アルド・チッコリーニ
(管弦楽)パリ管弦楽団    
(指揮) ジャン・マルティノン
      ♪ 私が聴いた音源 ♪






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