【 五月の夜 Op. 83-5 】 ドヴォルザーク,アントニン〔チェコ〕 (1841.09.08〜1904.05.01) 62歳 脳出血
1888年に作曲した「恋愛歌曲集 作品83」は 47歳の大家にふさわしい、完成と余裕をみせている。
歌詞はグスタフ・ブレーガー=モラヴィスキーの ボヘミア語の恋愛詩で、8曲からなる。
第5曲の「五月の夜」は、多恨のわが身を嘆く歌で、 穏やかな前奏の後、安らぎ憩う大自然を見つめて しみじみと歌う。
自然は安けく眠り夢みる。 五月の夜にやさしく抱かれて。 そよ風は木立に流れ、やすらぎ天より降る。 花は眠り、波はいとしの歌をささやきうたう。 うつくしい夢は一面にゆらぎ、 うれい悩み争いはことごとに霧散する。 信頼と期待に星はかがやき、 天地は融合して渾然一体をなす。 幸福に浸り、歓喜に溢れる。 今、およそ私のように苦悩する者がどこにあろうか。
|
|