【 トスティのセレナーデ 】
トスティ,フランチェスコ・パオロ 〔伊〕
（1846.04.09〜1916.12.02） 70歳
イタリア歌曲の代表的作曲家のトスティは、
１７７年前の４月９日、中部イタリアのオルトーナで
商人の子として生まれた。
１２歳のときナポリ音楽院に入り、
ヴァイオリンと作曲を学んだ。
３４歳のときに、ヴィクトリア女王のもと、
イギリス王室付音楽教師としてロンドンに赴任し、
宮廷で多くの身分の高い子女の教育にあたった。
後にイギリスの市民権を得、６２歳のときに
エドワード七世より、男爵を授けられた。
６７歳のときにロンドンを去って、祖国イタリアに
帰った３年後、ローマで７０歳の生涯を閉じた。
トスティは歌曲を愛し、イタリア語、フランス語、
英語による数々の歌曲を作曲した。
当時、イタリアの歌曲はともすれば民謡風の
通俗曲のわくを脱することができないままであったが、
彼がそれを芸術歌曲の域に高めた
唯一の作曲家である。
美しいメロディーと感情豊かなハーモニーは、
叙情的で、しかも気品に富み、節度を保って愛を
歌い上げていて、今日もなお、愛され親しまれている。
トスティの作品は、詩の言葉と歌わせ方が巧みで、
歌詞の取り扱いに非常な苦心をはらい、
詩の言葉のもつ美しさを、語感を損なうことなく、
旋律のなかに見事に生かしている。
チェザーレオの作詞による「セレナード」は、
最もよく知られ愛唱されている歌曲で、美しく明るく
のびやかな情熱のセレナードは、ギターを模した
分散和音のピアノの伴奏で歌われる。
おおセレナードよ 翔りゆけ
ひとりまどろむ
美しいわが恋人のふしどへと
おお セレナードよ 翔りゆけ
君のねやのとばりに灯影はゆらぎ
月はきよらかにかがやく
おお セレナードよ 計りゆけ
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