 【 歌劇「道化師」】 レオンカヴァロ,ルッジェーロ〔伊〕 (1858.3.8〜1919.8.9) 65歳
 1890年5月にローマで初演された、マスカーニの 「カヴァレリア・ルスチカーナ」の成功は、無名の マスカーニの名をいち早く全イタリアにとどろかせた。
それに刺激されて創作意欲がわき、文才に恵まれた レオンカヴァロは、作詞から作曲までを5カ月の 短期間で完成させたのが、2幕からなる 歌劇「パリアッチ」(道化師)である。
この二人にとっては出世作が代表作となり、 今に残る唯一の作品となったが、内容的にも よく似ていて、それまでの歌劇の舞台に馴染み深い 神話的伝説的人物や王侯貴族には無縁で、 ともに南欧を背景に、庶民階級の現実主義を舞台に その人たちの生々しい息吹をどぎついほどに伝えるばかりか、 嫉妬から殺人に至る筋までが共通している。
レオンカヴァロの父が裁判官をしていたとき、 ある俳優が嫉妬から公演後に妻を殺害した事件があり、 父がその事件を担当したことから深い印象を与えられ、 作品が生まれた。
パリアッチは道化師のことで、劇中劇の道化芝居を 演じるのは、旅芝居一座の座長(主人公のカニオ)と、 一座の女優の妻ネッダだが、妻の浮気から妻と、 相手の男性をナイフで刺し殺すという筋になっている。
胸を打つ歌や巧妙な管弦楽効果など、 舞台構成や劇的効果もすぐれているこの作品は、 1892年5月21日にイタリアのミラノで、 トスカニーニの指揮により初演された。
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