[PREV] [NEXT]
...... 2021年04月05日 の日記 ......
■ 《 春よ 》   [ NO. 2021040501-1 ] v

【 歌曲「春へのあこがれ」K.596 】

モーツァルト,ヴォルフガング・アマデウス〔墺〕
(1756.01.27〜1791.12.05) 35歳



モーツァルトの最後となった1791年、
彼の生活は想像を絶するほど惨めなものであった。

10年前、故郷ザルツブルクの選帝侯コロンド大司教との
確執から父の許を離れてウィーンに移住し、
翌年コンスタンツェを妻に迎えて以来、日増しに
かさんできた出費を助けるため、音楽会を催して
自らの作品を演奏するとともに、ピアノ独奏や
指揮などを行なったり、弟子をとったりしたが、
それだけでは支えきれなくなって、
次第に金払いの良い貴族たちの依頼による
舞踏曲などにも手をつけ始めていた。

この曲を含む、3曲(春のはじめに、子どもの遊び)の
歌曲は、子どもの雑誌よりの依頼によって
作曲されたものだが、悲惨な生活状態と、この曲の
苦しい中での「春へのあこがれ」への無邪気さとは
いったいどう結びつくのであろうか。

この曲の主題は「ピアノ協奏曲 第27番」の
第3楽章からの転用で、子どものための作品らしい、
天真爛漫とした屈託のない有節歌曲で、歌詞は
オーヴァーベックの童詩集「フリッツヒェンの歌」の
中から採られた5節からなるものである。

第1節 「きたれ、愛らしき春よ・・・」で始まる 
    春へのあこがれを・・・         
第2節 過ぎ去った冬の楽しい日々への追想    
第3節 春の楽しさは格別だと、外に出て遊ぶことの
    うれしさを・・・            
第4節 友人が、心臓を病んでいることが気掛かり 
    だと憂いを・・・            
第5節 春とともに、ナイチンゲールや美しい   
    カッコウもきておくれ・・・と結んでいる。

モーツァルトは、この年が35度目の最後の春だった。



五月の歌

楽しや五月 草木はもえ
小川の岸に すみれにおう
やさしき花を 見つつ行けば
心もかろし そぞろあるき

うれしや五月 日影ははえ
わか葉の森に 小鳥歌う
そよ風わたる 木かげ行けば
心もすずし そぞろあるき

(青柳善吾訳詞)





...... トラックバックURL ......
  クリップボードにコピー

...... 返信を書く ......
[コメントを書く]
タイトル:
お名前:
メール:
URL:
文字色:
コメント :
削除用PW:
投稿キー: