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...... 2021年03月13日 の日記 ......
■ 《 イタリアへの憧れ 》   [ NO. 2021031301-1 ] ch

【 イタリア風セレナード ト長調 】

ヴォルフ,フーゴー 〔墺〕
(1860.03.13〜1903.02.22) 42歳 神経障害



ヴォルフは、スロヴァニア人の両親のもと、
161年前の3月13日にオーストリアの
ヴィンディッシュグレーツで生まれた。

18歳のころ最初の霊感の噴出をおぼえ、
歌曲の作曲を始めたが、その後、ウィーンの週刊紙の
音楽批評を担当し、深い造詣と毒舌にあふれた
鋭い批評を書き続け、ウィーン楽界の話題の的となった。

28歳のころ、再び天才の噴出が始まり、
霊感は止まることを知らず、多くの歌曲が生まれた。
しかし、31歳の終わりころ不意に
霊感を感じなくなった。

約2年後には不毛の苦しみと、
失意から抜け出すことができ、作曲は続けられたが、
37歳のころからヴォルフの神経は
正常さを失い始めていた。

脳卒中の前兆が明らかになり、彼は様々な奇行や、
言動により友人たちを驚かせるようになった。
医者の命令で精神病院に収容されたが、
4ヶ月後には退院・・・翌年に発作が再発し、
再び脳病院に収容・・・
自ら湖に投身自殺を計ったが未遂に終わった。

狂気のままウィーンで42年の生涯を閉じた。
彼の遺体はウィーンの中央墓地に、
彼の尊敬したベートーベンとシューベルトの
傍らに葬られた。

ヴォルフの作品は300曲近い歌曲がほとんどで、
シューベルト、シューマンも後を継いて、
19世紀ドイツロマン派のリートを頂点に導いた。

他にはオペラ「お代官様」と、弦楽四重奏のための
「イタリア風セレナード」が今日まで
生命を保っているにすぎない。

「イタリア風セレナード」は、イタリアに
強い憧憬を抱いていたヴォルフが、
その憧れを弦楽四重奏の形で表現したもので、
後にレーガーが補筆した小管弦楽用のものもある。

曲は明るく優美で、繊細で情緒豊かである。
しかも古臭い比較的ありふれた主題を持ちながら、
ヴォルフ一流の皮肉な筆致で扱っている。

和声はワーグナーの影響を受け、半音階的な
ところが多いが、色彩は南国の強烈な太陽を
想わせるより、夕方の静かな星空のように
落ち着いている。

単一楽章の曲で、はじめは3つの楽章を
続けるつもりだったが、完成せずに終わった。



(演奏)アルティス弦楽四重奏団
     ♪ 私が聴いた音源 ♪





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