 【 ピアノ・ソナタ 第17番 ニ短調 Op. 31-2 】
ベートーベン,ルードヴィヒ・ヴァン 〔独〕 (1770.12.17~1827.03.26) 56歳
クラウディオ・アラウ 〔チリ〕 (1903.02.06~1991.06.09) 88歳

二十世紀を代表するピアノの巨匠のアラウは、 122年前の2月6日に南米チリのチリャンで 歯科医の父の息子として生まれた。
8歳でデビューし、その年にチリ政府の援助で ドイツに留学し、シュテルン音楽院で学んだ。
11歳のときのベルリンでのデビューは大成功を収め、 ヨーロッパで活躍後、39歳から本拠をアメリカに移した。
ベートーベンのピアノ・ソナタ連続演奏会や、 ピアノ・ソナタ全集の録音も残している。
ベートーベンのピアノ・ソナタは、ソナチネを含めて 全部で36曲残されているが、作品2のソナタから 作品111のソナタまでの作品番号がついた32曲は、 ピアノ音楽の大きな発展史を形づくっている。
3曲のソナタからなる作品31(第16番~第18番)は、 ベートーベンが31歳のころの作品である。
第17番は、3曲のソナタのなかでは内容的に もっとも特色の強いもので、一般に「テンペスト」の 名で呼ばれている。 弟子のシントラーが、このソナタを理解する鍵を 与えてほしいとベートーベンに言ったところ、 「シェイクスピアの“テンペスト”を読め」という 返答があったところからきているといわれている。
全曲を通して、異様に緊迫した暗い劇的なものが 充満し、楽章も大胆なものになっている。 ベートーベンが「自分はこれまでの作品に満足して いない。これからは全く、新しい道をゆくつもりだ」 と言ったころの作品である。
幻想と形式感とが美しく調和した 第1楽章。
第1楽章と第3楽章の間にあって、しみじみと 憧れを叙情するかのような音楽の表情が、 非常にひきしまっている第2楽章。
一瞬の休息もなしに十六分音符でかけまわる 無窮動的音楽は、熱風をはらんだような迫力で たとえようもなく美しい第3楽章。 右手と左手とが忙しなく十六分音符音型を 連ねてゆく第一主題は、騎馬の足音から 思いついたものといわれる。
第1楽章 Largo-Allegro 第2楽章 Adagio 第3楽章 Allegretto

(ピアノ)ゾルターン・コチシュ ♪ 私が聴いた音源 ♪
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