[PREV] [NEXT]
...... 2018年06月22日 の日記 ......
■ 醜聞的な人気 》   [ NO. 2018062201-1 ] e_or

【 バレエ音楽「屋根の上の牛」作品58 】

ミヨー,ダリュス 〔仏〕
(1892.09.04〜1974.06.22) 81歳



「プロヴァンス出身のユダヤ教を信ずるフランス人」
と自己規定していたミヨーは、二十世紀初めの
パリで多調性を主とした前衛作曲家として売り出し、
第一次大戦中は親しい詩人・外交官のクローデルの
秘書として、一緒にブラジルに滞在した。

この強烈な体験がミヨーのラテン気質を目覚めさせ、
ラテン音楽やジャズを現代音楽と結び付ける
彼独特の作曲法を編み出させた。

第二次大戦が始まるとアメリカに亡命し、
アメリカの吹奏楽団のために
「フランス組曲」などを書いた。
戦後はパリとカリフォルニアを一年ごとに往復し、
亡くなるまで作曲を続け、44年前の6月22日に
スイスのジュネーブで81年の生涯を閉じた。

映画音楽や放送音楽など作品番号の
付いていないものを数えれば500は越える
作品を残している。

ミヨーは、民謡その他の既存の音楽素材を用いて、
それに基づいた作品も書いているが、
その中に大衆的成功を得ているものが多い。

ブラジルへの忘れ難い思い出から生まれた作品の
「屋根の上の牛」は、ブラジル民謡やタンゴ、
サンバなどを集めて一つの主題をロンドのように
展開させながら、様々な要素のリズムに
移し替えて再現していくように作曲されている。

この曲の調性は、全部の調性の長・短を
含んでいて同名調と関係調との間をたえず
動き回りながら実現された、奇妙なやり方である。

原曲は1919年に書いたヴァイオリンとピアノのための
「楽しくいつも動いて」と題する曲で、
「シネマ幻想曲」と副題をつけて、チャップリンの
映画の伴奏音楽に使用することを考えていた。

しかし、詩人ジャン・コクトーが
パントマイム(黙劇)風のミュージカル・ファルスを
作ることを思いつき、シナリオを書いた。

クローデルが、リオデジャネイロで見つけた
肉屋の屋号「屋根の上の牛」を黙劇の
題名とし、ミヨーはこの作品のために、
オーケストレーションした。

完成の翌年にパリのシャンゼリゼ劇場で
初演されたが、出演者は全員が顔の数倍もする
仮面をかぶるという奇抜なもので、観客は驚き、
醜聞的な人気を巻き起こし、批評家は
サティ一派の冗談音楽として一蹴した。



       (管弦楽)フランス国立管弦楽団
       (指揮) レナード・バーンスタイン
             ♪ 私が聴いた音源 ♪





...... トラックバックURL ......
  クリップボードにコピー

...... 返信を書く ......
[コメントを書く]
タイトル:
お名前:
メール:
URL:
文字色:
コメント :
削除用PW:
投稿キー: